四十肩、五十肩とは:「歳のせいだから治療不要」ではない肩の痛み
昔から40〜50歳代の方が誘因不明確な肩関節痛を訴えることが多数あったようで、江戸時代の書物にも記されていたようです。
ただし現代においては、四十肩や五十肩といった言葉のみが一人歩きし、診察時にも「自分の症状は四十肩でしょうか」と患者さんに尋ねられることが多数あります。また「一般的には四十肩や五十肩と言われることが多いですが...」と医師が話すと、詳細な説明の前に患者さんに落胆される場合があります。
実際にこの年代、あるいはより高年齢層で、明確な原因のない肩関節痛が唐突に、あるいは徐々に生じることは頻繁にあります。ですがこれらのほぼ全てが、加齢による変化にて治療不要(あるいは治療不能)というわけではありません。
最も多いのは腱板という、肩関節を動かす内在筋の炎症や変性による痛みです。確かに経年変化は一因ですが、詳細な診察や画像検査(レントゲン、超音波、MRIなど)によって診断し、薬の処方や注射、物理療法、運動療法などを組み合わせて治療していきます。また石灰沈着性腱板炎、腱板断裂、変形性関節症などの疾患の場合もありますが、多くは通院による保存的治療で症状軽減が可能です。
肩の痛みで動かせないなどの症状を歳のせいだから仕方ないと放置せず、整形外科で診察治療を受け、肩が動かなくなるなるなどの後遺症を残さないようにしましょう。また稀に重篤な疾患が隠れている場合もありますので、民間治療などではなく整形外科で診察を受けましょう。