心と体

2026年4月15日 (水)

骨密度測定について:腰椎での測定は変形が強いと高値になりがち

当院では今年1月に骨密度測定装置が刷新され、これまでの前腕骨(手首)に加えて、腰椎および大腿骨近位(股関節部)での測定が可能になっています。

前腕骨では左右差(利き手)の影響が避けられないため、原則としては後二者での測定を優先していますが、手術による人工物(金属)の存在や脊椎圧迫骨折などで著明な骨変形がある場合などは、従来通り前腕骨で測定しています。

 

これまで測定した印象としては、測定に不向きな条件がない腰椎でも、加齢による変形が明確に存在している場合には測定値が他部位より高く出る場合が多いです。

測定方法(微弱X線)による限界の問題にて、測定値のみを盲信せずに他部位の数値や診察所見を総合して治療の必要性を検討することが大切である、ということです。

また大腿骨についても、普段の生活で歩行に支障がない方の場合には、前腕骨よりも高い測定値が出る場合があります。

これは、骨密度は測定部位や運動量によって同じ人でも数値が異なってくる、ということを示しています。

 

骨粗鬆症の判断基準は骨密度の測定値だけではありません。測定値が正常でも、骨粗鬆症由来の骨折の既往、骨密度低下を呈する副作用がある薬剤の使用、筋力低下や低栄養の有無、血液検査の結果などを総合的に検討して治療の必要性を提案します。

また治療内容は薬剤だけでなく、運動や栄養摂取(主にタンパク質とカルシウム)が大切になります。

骨粗鬆症が心配な方、他院で精査を勧められた方、お気軽にご相談ください。

2026年2月 4日 (水)

変形性関節症や関節リウマチによる関節変形は早期から発現します

近年はX線撮影(レントゲン)以外の画像診断が容易に利用できるようになり、骨以外の変化について超音波やMRIで詳細に確認することが可能です。

特に超音波は外来で手軽に検査できるので、形状変化や炎症性反応(血流の増加)を捉えやすいです。

 

膝関節の内側に痛みがある50歳以降の患者さんで、X線写真が変化に乏しくても、超音波で靭帯周囲の腫脹や血流増生、半月板の変化を確認することが多く、この場合には変形性関節症のごく早期の所見が存在していると診断されます。

X線写真のみで判断するより10年単位で早期に変化を確認できることになります。

 

関節リウマチの指関節などの変化においても早期に発現することは同様で、こちらは発症後1年以内に関節変形がX線写真で確認できるくらいに生じていることが多いです。

昨今の関節リウマチ治療では病状進行抑制効果の高い薬剤が用いられて、高度な関節変形を生じる前に病状を安定させることが可能になっていますが、一度変形した関節を発症前の状態まで戻すには至りません。

 

どちらの疾患においても、一度すり減ってしまった関節面の軟骨の回復は現時点では困難な場合が多いです。変形性関節症の予防のために若いうちから筋力や柔軟性低下の予防および体重増加の抑制、関節リウマチにおいては早期診断治療開始が重要です。

2025年10月16日 (木)

脱ぎ履きしやすい靴は機能性が低下します:用途限定で

最近巷の靴店でよく売れているのは、手や靴べらを使わずに立ったままで脱ぎ履きができることを売りにしている靴(スニーカー)です。

 

座ったり腰を曲げたりしないで脱ぎ履きできるので、腰痛や妊娠中で腰を屈めたり頻繁に立つ座るの動作が困難な場合や、手が不自由で靴紐を縛ったり靴べらを使うことが難しい方には有益であると思います。

靴店でもこのタイプの靴は高齢者に人気だそうです。

靴を正しく履くことが困難な方が踵を潰して履いている例は以前から散見されていますが、それに比べれば踵を靴に入れられるのは転倒予防の観点からは有効でしょう。

 

ただし、概して脱ぎ履きのしやすさは機能性と両立しません。

実際によく売れているメーカーのものは、脱ぎ履きがしやすく、靴べらなしで踵が靴に収まるのが容易な反面、それを実現するために足への固定性が弱くなるため歩行時の安定感が重視されておらず、長時間歩行や走る、スポーツをするといった用途には不向きです。

 

障害予防の観点から、靴選びには機能的合理性が不可欠です。目的にあった選択を忘れないようにしましょう。

2025年7月15日 (火)

破傷風ワクチンの供給が停止しています(現在は再開済み):発症予防が不可欠です

(2025/7/30追記:昨日、ワクチン出荷が再開となりました。医療機関への供給は順次再開される予定です。ですが記事に記した注意については、破傷風以外の感染症予防に対しても不可欠ですので、必ず継続してください。)

 

破傷風は土嚢に存在する菌による感染症で、罹患時は早期の加療を行わないと致死率が高い重篤な感染症です。

よって縫合が必要なレベルの汚染創を負った患者さんは、ワクチン(沈降破傷風トキソイド)を迅速に接種する必要がありますが、このワクチンが製造会社側の事情により供給が停止し、当院を含めた全国の医療機関において在庫が極少となっています。

代替手段は現時点で存在せず、対策としては創部の洗浄を入念に行い、発症にこれまで以上に留意するしかありません。

 

皆様におかれましては、外傷を負わない工夫をこれまで以上に行う必要があります。

土いじりの際などには厚い手袋を、野山に入る時や二輪車(バイクや自転車)に乗る際には長袖長ズボンを着用するなど、積極的に行ってください。豪雨の後の水たまりで足に釘が刺さる、動物に噛まれる、といった傷も発症の危険性が高いです。

もし傷を負ってしまった場合には、止血の後で水道水などで創部の異物を洗い流してください。深い傷が疑われる場合には、医療機関受診を躊躇しないでください。

こちら もご参照ください(一般社団法人 日本感染症学会より)

2025年5月20日 (火)

痛みのある部位は目視確認を

整形外科では痛みを主訴に受診される方が多く、患部が赤く腫れるなどの外見的変化を伴う場合が多いですが、腰痛やいわゆる神経痛などの場合は、外見的変化を伴わない場合が多いです。

逆に胸部や腹部、二の腕、臀部から大腿など、ご自身では目視確認しにくい部位の症状の場合、皮膚など外見変化に気づきにくいです。

日常の診療で時々遭遇するのが帯状疱疹の皮膚変化ですが、他には神経痛かと思ったら実は肩など関節が腫れていた、といった場合もあります。

 

痛みなどの症状がある場合、特に外傷のような明確な機序を伴わずに発症した場合には、腫れて赤くなっていないか、皮膚に変化が生じていないか、などをまずご確認ください。ご自宅の姿見(鏡)をご利用ください。

スマートフォンなどのカメラを利用して、着衣では確認しにくい部位について、あるいは時間経過による変化を写真に残しておくのは大変有効です。

 

 

2025年2月16日 (日)

小学生が冬に踵を痛がる:縄跳びや持久走との関係

小学生が冬季によく行う運動に縄跳びがありますが、これが原因と思われる踵が痛い小学生が毎年来院されます。

大抵は重症ではなく、縄跳びなど患部への負担がかかる運動を控えるか、体育で縄跳びを行わなくなると症状が軽快します。

また持久走(長時間のジョギング)が学校で行われている時期にも、同様の症状をよく診ます。

両者の共通点は、同一動作を繰り返す運動のため、踵への衝撃負担が連続的にかかり続けていることです。成長期の身体には好ましいことではありません。

 

少年野球で投球数を制限するほど厳密ではないですが、毎日何時間も同じ運動動作を繰り返すことは避ける、痛みが出たらしばらく控えることが大切と考えます。

予防策としてアキレス腱やふくらはぎ、足の裏のストレッチを行うこと、クッション性のある靴を履くようにしましょう。

そして両者に限らず、成長期は時期を問わず色々な運動を行うようにしましょう。

 

 

2024年12月 6日 (金)

自分の足のサイズは?:靴によって異なります

靴を新しく買うときにはサイズ表記を気にするのは当然のことですが、それはどんな靴でしょうか。

実は靴に表記されたサイズは、その種類によって実際の大きさが異なります。

具体的にいうと、正しく靴を履いた条件下において(こちらをご参照ください)、スニーカーや運動競技用の靴と、いわゆる革靴では、同じサイズ表記でも大きさが異なり、前者の方が後者より1〜1.5cm大きなサイズが好ましい場合が多いです。

かつスニーカーおよび革靴といっても、実際の大きさはそれぞれ異なります。

よって靴を購入する際には、サイズ表記に固執せず、必ず複数のサイズを試着してください。

 

当院では足と靴に関わる疾患を診察しています。痛みや変形などの悩みがある方は、普段ご使用の靴を持参の上、受診してください。

2024年10月 4日 (金)

処方薬の自己負担額について:後発品が存在する先発品を希望なら増額の場合あり

今月(2024年10月)から、医療機関から処方される薬品のうち、後発医薬品が存在する先発医薬品(長期収載品)を患者さんが希望される場合には、両者の価格差の1/4を自己負担額(10〜30%)に加えて支払う必要があります。

例えば一錠あたり先発品が100円で、後発品が60円であれば、その差額40円の1/4である10円(+消費税)の支払いが追加されます。

なお本件は処方箋に記された薬剤についてであり、院内で使用される注射薬には用いられません。

 

患者さんの希望によってではなく、後発品では効果不十分などの理由があって先発品を選んでいる場合には、処方箋にその旨を記すことで上記負担が免除される可能性があります。

その場合には診察中に担当医にご相談することをお勧めします。

診察後に調剤薬局で薬を受け取る時点でお話しされた場合には、担当医(医療機関)に薬剤師が電話などで問い合わせる必要があり、追加の支払いなく薬を受け取るまでに時間がかかります。

 

その他種々の想定事例について、詳しくはこちらをご参照ください(厚生労働省のサイトです)。

2024年8月 2日 (金)

中高年女性の手指関節痛:エクオール含有製品の選択に注意

当院では中高年女性の手指関節痛の主因であるへバーデン結節(第一関節の変形)やブシャール結節(第二関節の変形)に対し、希望する方には大豆イソフラボン由来の代謝物であり、更年期障害によるこれら関節炎の進行予防に有効とされるエクオールの服用を推奨しています(当院でも販売しています)。

ただしエクオールを含む製品(市販のサプリメント)は全て有効性が高い、とはいえないようです。当院では有効性が確認されたS-エクオールを含むものだけを販売していますので、ご相談ください。

 

エクオールは関節変形だけでなく、同時期の女性に生じがちな腱鞘炎についても効果が期待できます。診察時にご相談ください。

 

体内でエクオールが生成されているか否かを判定するキット(ソイチェック)も当院で販売していますが、生成レベル3以下と判定された場合には生成が十分にされているとは言い難いです。エクオール服用を検討すべきと考えます。

 

こちらもご参照ください(当ブログ2019/8/19)。

2024年5月 7日 (火)

正しい姿勢を幼少期から身につけましょう:周囲の指導が大切です

かつての学校では授業中や集会にて姿勢の指導がよく行われており、例えば「気をつけ」の姿勢が維持できない児童や生徒を指導する教師の姿が頻繁に見られました。

しかし最近は時間などに余裕がなく、当院を受診する小児に尋ねても姿勢の指導を受けた記憶がない、とよく返答されます。

これは家庭内でも然りです。先生や親に子の姿勢を指導する時間的心理的余裕がないことが一因と考えられます。

学校の運動器検診で脊柱側湾症を指摘されるものの、実際には姿勢が悪いだけ、そもそも体幹を真っ直ぐにする慣習がない、という例が頻繁にあります。

 

例えば猫背の持続は低年齢からの肩こりを惹起します。また体幹が真っ直ぐではないと、筋肉骨格に限らず、呼吸機能など内臓の健全な成長が阻害されます。

上述の脊柱側湾症など特段の事情がなければ、小児が正しい姿勢を身につけるための指導を周囲の大人が行うことは大変重要です。どうか今一度、ご指導をよろしくお願いします。

概して小児は、指導したことの習得が早く、姿勢改善の習慣は早期に得られやすいと言われていますが、それが難しい原因がある(と疑われる)場合や、検診で側湾症などが疑われた場合にはぜひ整形外科を受診してください。

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