心と体

2017年10月11日 (水)

足の水虫について:気になったら相談を

当院では足部の障害の治療の一環として、軽〜中症の水虫(爪白癬および足白癬)を治療しています。
爪白癬の外用薬治療については以前当ブログでお知らせし(こちらを参照) 、治療継続中の方が何人もおられますが、足趾の間が痒くて皮膚が剥けているなどの症状がある方もご相談いただければ、水虫(白癬菌の有無)を検査し、治療をお勧めしています。

秋になって靴下を履く時間が長くなり、素足の状態を確認しにくい時期が続きます。
一度白癬菌に感染した足は自然治癒が困難であり、長期間感染が持続したままでは、加齢や病気により体の免疫力が落ちてくると状態が悪くなり、生命に影響することもありうるような様々な障害を引き起こします。
たとえ外見以外の症状がない場合でも、お気軽にご相談ください。

白癬菌は湿潤状態を好みます。
靴や靴下は清潔なものを使い、履いた後の靴は内部が乾くようにケアを、また足自体は入浴時に洗って汗などを流し、乾燥させておきましょう。
足の変形や筋力低下で足趾運動が困難であることは、白癬菌感染の危険因子です。

また足についた白癬菌による感染が成立するには丸一日かかると言われています。
銭湯などで不特定多数が利用する足ふきマットを利用した際には、帰宅後その日のうちに足部を洗い、乾いた状態にしておくことをお勧めします。

2017年8月22日 (火)

装具外来:作成や健康保健適応には医師の診察が必須

先日一部新聞報道に、治療用の装具作成において健康保険の不正請求が相次いている、という記事がありました。
安眠枕を作成して頚椎用装具として請求したり、靴店がインソールを作成して医師が診断書を名前貸しのように発行するなど、不適切な事例があるようです。

治療用の装具作成ついては、まず医師の診察で、治療のために作成が必要と診断を受けることが必須事項です。
その上で資格を持った義肢装具士が装具を採寸作成し、完成品を医師がチェックします。
作成後も診察時に不具合などを確認し、必要に応じて改良や修理を行います。

逆に言えば、上記の過程に沿わない装具の作成や健康保険請求は相応しくありません。
当院で散見されるのは、先に装具を業者などが作成し、保険請求のためだけに医師に診断書の作成を求めるケースですが、これは認められませんのでご注意ください。

当院における装具外来についてはこちらをご参照ください。

2017年7月19日 (水)

湿布薬など外用薬による皮膚の炎症について

湿布薬など皮膚に塗って使用する薬剤は使用が簡便ですが、最も生じやすい副作用がかぶれなどの皮膚の炎症です。

医学的な原因は物理的刺激によるものとアレルギー性のものがあります。
薬剤を使用した部位に皮膚の変化が限局していれば前者、使用部位以外に波及していれば後者の可能性が高いです。一部湿布薬の日光による過敏症は後者に当たります。

皮膚に異常が生じた場合には薬剤の使用を止めて、早期に処方された医療機関にご相談いただくのが望ましいですが、それが難しい場合や処方元ではない皮膚科を受診される場合には、使用した薬剤がわかるもの(湿布薬の外装やお薬手帳など)を必ずご持参ください。

早期の医療機関受診が叶わずに市販の外用薬を使用する場合には、薬剤師にご相談の上での選択使用が望ましいです。
また使用前にカメラで患部の写真を撮影しておき、後日医療機関を受診時に医師に見せていただくと診断の手助けになりますので、強くお勧めします。

なお外用薬には湿布薬などの患部局所に使用する目的のものだけでなく、皮膚から吸収させて全身に効果を及ぼすものがあります。
この場合は安易な使用中止は全身状態の悪化を呈する場合がありますので、貼付部位を変えて使用した上で処方元の医療機関に速やかにご相談ください。

2017年6月18日 (日)

薬の副作用:眠気に注意(再掲)

先日有名タレントさんが、入浴後に抗アレルギー薬や入眠剤を服用して自動車を運転した、という報道がありました。皆様十分にご注意ください。
過去の当ブログを再掲します。
(以下は2012/5/11の記事を一部改変したものです)

居眠り運転による交通事故は昔から後を絶ちませんが、薬剤の副作用による眠気には、医療機関での処方でも市販薬であっても、十分な注意が必要です。

抗アレルギー薬や不眠症などに用いられる睡眠薬は言わずもがなですが、整形外科でよく処方されるものでは、筋肉の緊張を緩和する内服薬や、しびれなど神経由来の症状や従来の鎮痛薬では改善されない痛みに処方される内服薬によって、眠気が生じる場合が多いです。

前者は肩こりや腰痛による筋肉の緊張緩和でよく処方されますが、同一の薬剤が不眠症の治療に用いられる場合もあるくらいで、日中も起きられないくらいの場合があります。
後者は最近広く処方されるようになった薬剤で、夕食後のみ内服しても起床後に眠気が消えないケースをよく認めます。


個人差はかなりありますが、これらの薬剤を使用した場合は、自動車の運転を控えるなど、十分な注意が必要です。
またこれら以外の薬剤でも、「眠くなりにくい」ことを謳っているアレルギー性鼻炎の内服薬であっても、絶対に眠気が生じない、ということは皆無です。
体調を崩して薬剤を使う場合は、眠るなど「体を休める」ことが求められてる、という認識を持ちましょう。

2017年5月27日 (土)

関節リウマチと歯周病

関節リウマチは原因不明の全身炎症性疾患ですが、以前から歯周病との関連が予想されていました。
歯周病の治療でリウマチの症状が軽快した事例が過去に報告されていますが、我が国の成人における歯周病患者は80%と言われており、相関関係は明確ではありません。

近年、リウマチに関係する検査がより詳細になり、歯周病との関連をこれまでより明確に示唆する研究報告がなされるようになりました。
歯周病の原因菌のうち特定の一種が体内のタンパクに作用することで生じる変化が知られており、これを認知する血液検査項目にリウマチ患者に特異性が高いものがあり、ここから両疾患の相関が予想されています。

リウマチの治療は生物学的製剤の実用化により、早期発見と適切な治療で重症化を防げるようになりましたが、さらなる治療法の進化や予防が可能かもしれません。
また歯周病の関連の可能性は、日頃の歯磨きなど口腔内ケアの重要性も示唆していますので、侮らないようにしましょう。

2017年4月22日 (土)

こむら返り:予防には股関節を動かしましょう

就寝中や運動後に、ふくらはぎがつって痛くなった経験のある方は多数おられることと思います。
こむら返りと呼ばれるこの現象は、生じた際には慌てずに足関節を背屈(足首を上に曲げる)させて、ふくらはぎの筋肉をストレッチさせることで軽減します。
繰り返し生じる場合にはストレッチ指導や漢方薬などの処方がなされますが、原因究明と対策も必要です。

激しい運動の後に生じるものは、いわゆる筋肉疲労によるものです。
ストレッチや患部の休養はもちろんですが、水分やミネラルの補給も怠らないようにしましょう。
また運動時に足関節で地面を蹴る割合が増える、言い換えれば股関節があまり動かせていない、すなわち走行時に腿が上がっていない場合もあります。

明確な原因が不明な場合もありますが、特に高齢者や運動習慣に乏しい方の場合には、全身の筋力及び柔軟性低下のために歩行時に股関節が動かず、上述と同様にふくらはぎの筋力負荷が増えている可能性が推測されます。
歩行時に股関節を動かす、すなわち腿を上げるようにすることで、ふくらはぎの負担を減らして、こむら返りが起きにくいようにしましょう。

2017年3月 4日 (土)

消炎鎮痛薬の使用についての懸念:マラソンでの使用には危険あり

非ステロイド性消炎鎮痛薬(商品名ロキソニン、ボルタレンなど、以下NSAIDsと記す)は体の様々な部位からの痛みを緩和する目的でよく処方され、近年は医師の処方箋がなくても薬局にて購入できるものが増えています。

ドーピング検査のチェック対象外であるため、スポーツ選手が試合前に服用するケースも多々あるのですが、副作用を考えるとあまり望ましい行為ではありません。
特にマラソンのような長時間に体に強い負荷をかけ続ける種目の場合、鎮痛効果と引き換えに重大な副作用を発生する恐れがあります。

NSAIDsの副作用で有名なのは胃腸粘膜障害です。
粘膜保護作用を呈する物質の働きを抑制するため、そこに激しい運動時には発汗による脱水傾向が加わることで障害作用が増悪し、潰瘍の形成による出血の原因となりえます。

腎臓の血流を抑制する副作用はより重篤です。
発汗による脱水に加え、血流が下肢に集中して内臓が虚血状態となっているところに腎臓へ更に負担を強いることになるため、血尿を始めとする腎障害の危険因子になりえます。

以上のように、脱水傾向が副作用を増悪させ、時には生命に関わる重篤な状態となりえます。
故にマラソンなど激しい運動時のNSAIDs、特に内服薬や坐剤の使用は慎重にすべきです。
中には鎮痛効果の増強を期待して、定められた量や回数を超えて用いるケースがあるようですが、上記のごとく生命に関わる副作用を生じかねないので、絶対に避けてください。

2017年2月 7日 (火)

診察室での説明について

医療機関で医師が患者さんに診察や検査の内容を説明する際には、極力平易なキーワードを、特に一般的に認知度が高いと思われるものを用いることが多いですが、この使い方が容易ではありません。
というのは、キーワードを用いた途端に、患者さんに正確ではない内容を印象付けることが珍しくないのです。

例を挙げると、「骨折はしていなかった」「椎間板ヘルニアではなかった」「四十肩だった」「年のせいだった」...

前者二つは、結果の表現としては明快ですが、たいていの場合「骨折ではないが靭帯を痛めている」「ヘルニアではないが骨が神経を圧迫している」など、既知の診断名には該当しないものの患部の安静や注意が必要であり、「問題なし」ではありません。

残り二つについては、これらを伝えると「治療の必要なし」と誤解されやすいです。
根治は困難でも、鎮痛を図って症状を軽減たり、筋力や柔軟性を向上させて病状の進行を食い止めることは大抵の場合可能です。
また加齢による変化は自然なものなので、決して悪いことではありません。劣化や増悪ではなく、あくまでも「変化」です。

医師など医療者は、患者さんが自分の発言を誤解なく捉えていただけるか、常に神経を使っています。
受診の際には、既知のキーワードにこだわらず、説明を聞いて不明点をしっかり確認するようにお願いします。

2017年1月15日 (日)

インフルエンザ・ノロウィルス感染について

この冬はインフルエンザやノロウィルスの感染症が例年以上に流行しているようです。
前者であれば悪寒や発熱、後者なら嘔吐や下痢が主症状となることでしょうし、これらが発症した際には、前述のウィルスによる感染症か否か、が心配になることと思います。

しかし、これらの感染症の診断法には絶対の指標はなく、症状と経過や検査結果から総合的に推定します。インフルエンザの検査キットも絶対の基準ではありません。
またこれらの症状は、特に健康な成人で重症ではない場合には、自宅での安静と水分や栄養の補給で軽快するものが多いです。
咳や下痢が活発なまま慌てて医療機関を受診することは安静に反するばかりでなく、医療機関で感染を拡大させるという最悪の事態を引き起こしかねません。

症状が強く心配な場合には、体温測定や食欲の有無、下痢の状況などを確認し、まず医療機関に電話などでお問い合わせをお勧めします。
同様の患者さんを多く診る医療機関では、他の患者さんとの接触を避けるために別室を用意されることがあります。

無理に来院する理由の一つに、これらの感染症と診断されないとなかなか仕事を休めない社会的風潮があります。
中には、休むために診断書の事前提出を義務づける職場や学校があるとのこと。このため、症状を治療するためというよりは、「インフルエンザやノロか否かを判断してもらう」ために、まず医療機関へ駆け込む方が増えているようです。

もし症状がこれらのウィルス由来でないとしても、別のウィルスや細菌による感染性疾患の可能性が高く、回復には休養を要し、他人への感染を避けるべきである事は変わりません。
診断の内容以前に、体調不良時には無理をさせないことが、症状増悪及び感染者拡大の両方を予防するために最重要です。

2016年12月 6日 (火)

爪白癬の診断と治療について

陥入爪や巻き爪といった足の爪の疾患を多く診察させていただいていますが、これら以外の爪の変形、特に爪白癬(水虫)を思わせる病態に遭遇することが少なくありません。
そこでこの度、当院でも爪白癬の診断と、重症ではないものについては治療を行うことにしました。

爪の一部を検査に出し、白癬菌の存在が認められた場合には、外用薬を処方させていただきます。数ヶ月単位での使用が必要となることが予想されますが、根気よく治療することで治癒が期待できます。お気軽にご相談ください。

いわゆる足の水虫は、銭湯や温泉の足拭きマットのような不特定多数の人が足に触れるものを介して感染することが有名ですが、最近では高齢者入所施設において、施設の職員や入所者の家族の手を介しての感染が増えているそうです。
また免疫力の落ちた人の場合は感染が足先にとどまらず重症化する例もあります。侮らずに治療することをお勧めします。

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