心と体

2017年6月18日 (日)

薬の副作用:眠気に注意(再掲)

先日有名タレントさんが、入浴後に抗アレルギー薬や入眠剤を服用して自動車を運転した、という報道がありました。皆様十分にご注意ください。
過去の当ブログを再掲します。
(以下は2012/5/11の記事を一部改変したものです)

居眠り運転による交通事故は昔から後を絶ちませんが、薬剤の副作用による眠気には、医療機関での処方でも市販薬であっても、十分な注意が必要です。

抗アレルギー薬や不眠症などに用いられる睡眠薬は言わずもがなですが、整形外科でよく処方されるものでは、筋肉の緊張を緩和する内服薬や、しびれなど神経由来の症状や従来の鎮痛薬では改善されない痛みに処方される内服薬によって、眠気が生じる場合が多いです。

前者は肩こりや腰痛による筋肉の緊張緩和でよく処方されますが、同一の薬剤が不眠症の治療に用いられる場合もあるくらいで、日中も起きられないくらいの場合があります。
後者は最近広く処方されるようになった薬剤で、夕食後のみ内服しても起床後に眠気が消えないケースをよく認めます。


個人差はかなりありますが、これらの薬剤を使用した場合は、自動車の運転を控えるなど、十分な注意が必要です。
またこれら以外の薬剤でも、「眠くなりにくい」ことを謳っているアレルギー性鼻炎の内服薬であっても、絶対に眠気が生じない、ということは皆無です。
体調を崩して薬剤を使う場合は、眠るなど「体を休める」ことが求められてる、という認識を持ちましょう。

2017年5月27日 (土)

関節リウマチと歯周病

関節リウマチは原因不明の全身炎症性疾患ですが、以前から歯周病との関連が予想されていました。
歯周病の治療でリウマチの症状が軽快した事例が過去に報告されていますが、我が国の成人における歯周病患者は80%と言われており、相関関係は明確ではありません。

近年、リウマチに関係する検査がより詳細になり、歯周病との関連をこれまでより明確に示唆する研究報告がなされるようになりました。
歯周病の原因菌のうち特定の一種が体内のタンパクに作用することで生じる変化が知られており、これを認知する血液検査項目にリウマチ患者に特異性が高いものがあり、ここから両疾患の相関が予想されています。

リウマチの治療は生物学的製剤の実用化により、早期発見と適切な治療で重症化を防げるようになりましたが、さらなる治療法の進化や予防が可能かもしれません。
また歯周病の関連の可能性は、日頃の歯磨きなど口腔内ケアの重要性も示唆していますので、侮らないようにしましょう。

2017年4月22日 (土)

こむら返り:予防には股関節を動かしましょう

就寝中や運動後に、ふくらはぎがつって痛くなった経験のある方は多数おられることと思います。
こむら返りと呼ばれるこの現象は、生じた際には慌てずに足関節を背屈(足首を上に曲げる)させて、ふくらはぎの筋肉をストレッチさせることで軽減します。
繰り返し生じる場合にはストレッチ指導や漢方薬などの処方がなされますが、原因究明と対策も必要です。

激しい運動の後に生じるものは、いわゆる筋肉疲労によるものです。
ストレッチや患部の休養はもちろんですが、水分やミネラルの補給も怠らないようにしましょう。
また運動時に足関節で地面を蹴る割合が増える、言い換えれば股関節があまり動かせていない、すなわち走行時に腿が上がっていない場合もあります。

明確な原因が不明な場合もありますが、特に高齢者や運動習慣に乏しい方の場合には、全身の筋力及び柔軟性低下のために歩行時に股関節が動かず、上述と同様にふくらはぎの筋力負荷が増えている可能性が推測されます。
歩行時に股関節を動かす、すなわち腿を上げるようにすることで、ふくらはぎの負担を減らして、こむら返りが起きにくいようにしましょう。

2017年3月 4日 (土)

消炎鎮痛薬の使用についての懸念:マラソンでの使用には危険あり

非ステロイド性消炎鎮痛薬(商品名ロキソニン、ボルタレンなど、以下NSAIDsと記す)は体の様々な部位からの痛みを緩和する目的でよく処方され、近年は医師の処方箋がなくても薬局にて購入できるものが増えています。

ドーピング検査のチェック対象外であるため、スポーツ選手が試合前に服用するケースも多々あるのですが、副作用を考えるとあまり望ましい行為ではありません。
特にマラソンのような長時間に体に強い負荷をかけ続ける種目の場合、鎮痛効果と引き換えに重大な副作用を発生する恐れがあります。

NSAIDsの副作用で有名なのは胃腸粘膜障害です。
粘膜保護作用を呈する物質の働きを抑制するため、そこに激しい運動時には発汗による脱水傾向が加わることで障害作用が増悪し、潰瘍の形成による出血の原因となりえます。

腎臓の血流を抑制する副作用はより重篤です。
発汗による脱水に加え、血流が下肢に集中して内臓が虚血状態となっているところに腎臓へ更に負担を強いることになるため、血尿を始めとする腎障害の危険因子になりえます。

以上のように、脱水傾向が副作用を増悪させ、時には生命に関わる重篤な状態となりえます。
故にマラソンなど激しい運動時のNSAIDs、特に内服薬や坐剤の使用は慎重にすべきです。
中には鎮痛効果の増強を期待して、定められた量や回数を超えて用いるケースがあるようですが、上記のごとく生命に関わる副作用を生じかねないので、絶対に避けてください。

2017年2月 7日 (火)

診察室での説明について

医療機関で医師が患者さんに診察や検査の内容を説明する際には、極力平易なキーワードを、特に一般的に認知度が高いと思われるものを用いることが多いですが、この使い方が容易ではありません。
というのは、キーワードを用いた途端に、患者さんに正確ではない内容を印象付けることが珍しくないのです。

例を挙げると、「骨折はしていなかった」「椎間板ヘルニアではなかった」「四十肩だった」「年のせいだった」...

前者二つは、結果の表現としては明快ですが、たいていの場合「骨折ではないが靭帯を痛めている」「ヘルニアではないが骨が神経を圧迫している」など、既知の診断名には該当しないものの患部の安静や注意が必要であり、「問題なし」ではありません。

残り二つについては、これらを伝えると「治療の必要なし」と誤解されやすいです。
根治は困難でも、鎮痛を図って症状を軽減たり、筋力や柔軟性を向上させて病状の進行を食い止めることは大抵の場合可能です。
また加齢による変化は自然なものなので、決して悪いことではありません。劣化や増悪ではなく、あくまでも「変化」です。

医師など医療者は、患者さんが自分の発言を誤解なく捉えていただけるか、常に神経を使っています。
受診の際には、既知のキーワードにこだわらず、説明を聞いて不明点をしっかり確認するようにお願いします。

2017年1月15日 (日)

インフルエンザ・ノロウィルス感染について

この冬はインフルエンザやノロウィルスの感染症が例年以上に流行しているようです。
前者であれば悪寒や発熱、後者なら嘔吐や下痢が主症状となることでしょうし、これらが発症した際には、前述のウィルスによる感染症か否か、が心配になることと思います。

しかし、これらの感染症の診断法には絶対の指標はなく、症状と経過や検査結果から総合的に推定します。インフルエンザの検査キットも絶対の基準ではありません。
またこれらの症状は、特に健康な成人で重症ではない場合には、自宅での安静と水分や栄養の補給で軽快するものが多いです。
咳や下痢が活発なまま慌てて医療機関を受診することは安静に反するばかりでなく、医療機関で感染を拡大させるという最悪の事態を引き起こしかねません。

症状が強く心配な場合には、体温測定や食欲の有無、下痢の状況などを確認し、まず医療機関に電話などでお問い合わせをお勧めします。
同様の患者さんを多く診る医療機関では、他の患者さんとの接触を避けるために別室を用意されることがあります。

無理に来院する理由の一つに、これらの感染症と診断されないとなかなか仕事を休めない社会的風潮があります。
中には、休むために診断書の事前提出を義務づける職場や学校があるとのこと。このため、症状を治療するためというよりは、「インフルエンザやノロか否かを判断してもらう」ために、まず医療機関へ駆け込む方が増えているようです。

もし症状がこれらのウィルス由来でないとしても、別のウィルスや細菌による感染性疾患の可能性が高く、回復には休養を要し、他人への感染を避けるべきである事は変わりません。
診断の内容以前に、体調不良時には無理をさせないことが、症状増悪及び感染者拡大の両方を予防するために最重要です。

2016年12月 6日 (火)

爪白癬の診断と治療について

陥入爪や巻き爪といった足の爪の疾患を多く診察させていただいていますが、これら以外の爪の変形、特に爪白癬(水虫)を思わせる病態に遭遇することが少なくありません。
そこでこの度、当院でも爪白癬の診断と、重症ではないものについては治療を行うことにしました。

爪の一部を検査に出し、白癬菌の存在が認められた場合には、外用薬を処方させていただきます。数ヶ月単位での使用が必要となることが予想されますが、根気よく治療することで治癒が期待できます。お気軽にご相談ください。

いわゆる足の水虫は、銭湯や温泉の足拭きマットのような不特定多数の人が足に触れるものを介して感染することが有名ですが、最近では高齢者入所施設において、施設の職員や入所者の家族の手を介しての感染が増えているそうです。
また免疫力の落ちた人の場合は感染が足先にとどまらず重症化する例もあります。侮らずに治療することをお勧めします。

2016年10月12日 (水)

骨粗鬆症治療薬と顎骨壊死:歯科治療は速やかに

骨粗鬆症治療に用いられるビスホスホネート剤(以下BP、週一回または月一回朝食前に内服が多い)は、以前から顎骨壊死(顎の骨が溶けるように壊れる)の副作用が示唆されており、歯科で治療を受ける際に一定期間休薬の必要性の有無が議論されていました。
これまでも歯科治療前にBP内服を三ヶ月程度休薬していた患者さんは少なくなかったと思われます。

ですが「顎骨壊死検討委員会」(医師や歯科医師内の専門家や各関連学会で形成)における最新検討結果によると、基本的に歯科治療を受ける前の休薬及びその間の歯科治療中断は必要性に乏しいとのことです。

内容を解釈しますと、「虫歯などを治療する前のBP休薬の有無で、顎骨壊死の発生率に有意差なし。むしろ歯科治療の開始遅延による症状増悪や、休薬による骨粗鬆症由来骨折の危険性増大が問題になる。」ということです。
また「顎骨壊死発生の危険性はBPより感染の影響が大きく、歯磨きを始めとする日頃の口腔内ケアが最も大切である」とも言えます。

なお上記は、我が国で骨粗鬆症に対し定められた量のBPを使用している比較的健康な方の場合であり、BPを悪性腫瘍の治療に用いている場合や、糖尿病や悪性腫瘍の治療中で免疫力が低下して感染の危険性が高い方にまでは当てはまりません。
その他の場合でもケースバイイケースの対応が必要な例がありえますので、ご注意をお願いします。

2016年9月12日 (月)

ホームページアドレス変更のお知らせ

この度、当院のホームページアドレスが下記に変更となりました。

すでにアクセス時には通知されていると思いますが、ブックマークの登録変更などをお願いします。

新アドレス:http://ueno-seikeigeka.in.coocan.jp

2016年9月 5日 (月)

症状を自力で調べる際の注意点

最近はテレビ番組や書籍、インターネットで、病気についての情報が容易に入手することができます。身体の不調がある際に、医療機関を受診する前にこれらを調べる方は多いでしょう。

診察時に疾患の説明が理解が進む場合が多いので、調べること自体は望ましいのですが、注意していただきたいことは、これらに記されている情報はあくまで不特定多数の方を相手にした一般論か、一個人の体験談であることが殆どであり、全ての人に同等に当てはまるわけではない、ということです。

インターネットは個人が自由に情報を発信できるので、真偽の保証がされていない場合があります。テレビ番組や書籍などの出版物は編集や校正を得た情報なので明確な嘘である可能性は少ないですが、恣意的に事実とは距離がある意見を誘導する文章が作成されているかもしれません。
事前の情報収集の結果、医療機関への受診や診断、治療開始が早まることで疾患が早期に治療されれば好ましいのですが、逆に必要以上に症状を重症に捉えたり、過剰と思われる検査の必要性におののいている方も珍しくありません。テレビ番組や書籍、インターネットからの情報は、あくまでも参照程度に捉えておきましょう。

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