心と体

2025年5月20日 (火)

痛みのある部位は目視確認を

整形外科では痛みを主訴に受診される方が多く、患部が赤く腫れるなどの外見的変化を伴う場合が多いですが、腰痛やいわゆる神経痛などの場合は、外見的変化を伴わない場合が多いです。

逆に胸部や腹部、二の腕、臀部から大腿など、ご自身では目視確認しにくい部位の症状の場合、皮膚など外見変化に気づきにくいです。

日常の診療で時々遭遇するのが帯状疱疹の皮膚変化ですが、他には神経痛かと思ったら実は肩など関節が腫れていた、といった場合もあります。

 

痛みなどの症状がある場合、特に外傷のような明確な機序を伴わずに発症した場合には、腫れて赤くなっていないか、皮膚に変化が生じていないか、などをまずご確認ください。ご自宅の姿見(鏡)をご利用ください。

スマートフォンなどのカメラを利用して、着衣では確認しにくい部位について、あるいは時間経過による変化を写真に残しておくのは大変有効です。

 

 

2025年2月16日 (日)

小学生が冬に踵を痛がる:縄跳びや持久走との関係

小学生が冬季によく行う運動に縄跳びがありますが、これが原因と思われる踵が痛い小学生が毎年来院されます。

大抵は重症ではなく、縄跳びなど患部への負担がかかる運動を控えるか、体育で縄跳びを行わなくなると症状が軽快します。

また持久走(長時間のジョギング)が学校で行われている時期にも、同様の症状をよく診ます。

両者の共通点は、同一動作を繰り返す運動のため、踵への衝撃負担が連続的にかかり続けていることです。成長期の身体には好ましいことではありません。

 

少年野球で投球数を制限するほど厳密ではないですが、毎日何時間も同じ運動動作を繰り返すことは避ける、痛みが出たらしばらく控えることが大切と考えます。

予防策としてアキレス腱やふくらはぎ、足の裏のストレッチを行うこと、クッション性のある靴を履くようにしましょう。

そして両者に限らず、成長期は時期を問わず色々な運動を行うようにしましょう。

 

 

2024年12月 6日 (金)

自分の足のサイズは?:靴によって異なります

靴を新しく買うときにはサイズ表記を気にするのは当然のことですが、それはどんな靴でしょうか。

実は靴に表記されたサイズは、その種類によって実際の大きさが異なります。

具体的にいうと、正しく靴を履いた条件下において(こちらをご参照ください)、スニーカーや運動競技用の靴と、いわゆる革靴では、同じサイズ表記でも大きさが異なり、前者の方が後者より1〜1.5cm大きなサイズが好ましい場合が多いです。

かつスニーカーおよび革靴といっても、実際の大きさはそれぞれ異なります。

よって靴を購入する際には、サイズ表記に固執せず、必ず複数のサイズを試着してください。

 

当院では足と靴に関わる疾患を診察しています。痛みや変形などの悩みがある方は、普段ご使用の靴を持参の上、受診してください。

2024年10月 4日 (金)

処方薬の自己負担額について:後発品が存在する先発品を希望なら増額の場合あり

今月(2024年10月)から、医療機関から処方される薬品のうち、後発医薬品が存在する先発医薬品(長期収載品)を患者さんが希望される場合には、両者の価格差の1/4を自己負担額(10〜30%)に加えて支払う必要があります。

例えば一錠あたり先発品が100円で、後発品が60円であれば、その差額40円の1/4である10円(+消費税)の支払いが追加されます。

なお本件は処方箋に記された薬剤についてであり、院内で使用される注射薬には用いられません。

 

患者さんの希望によってではなく、後発品では効果不十分などの理由があって先発品を選んでいる場合には、処方箋にその旨を記すことで上記負担が免除される可能性があります。

その場合には診察中に担当医にご相談することをお勧めします。

診察後に調剤薬局で薬を受け取る時点でお話しされた場合には、担当医(医療機関)に薬剤師が電話などで問い合わせる必要があり、追加の支払いなく薬を受け取るまでに時間がかかります。

 

その他種々の想定事例について、詳しくはこちらをご参照ください(厚生労働省のサイトです)。

2024年8月 2日 (金)

中高年女性の手指関節痛:エクオール含有製品の選択に注意

当院では中高年女性の手指関節痛の主因であるへバーデン結節(第一関節の変形)やブシャール結節(第二関節の変形)に対し、希望する方には大豆イソフラボン由来の代謝物であり、更年期障害によるこれら関節炎の進行予防に有効とされるエクオールの服用を推奨しています(当院でも販売しています)。

ただしエクオールを含む製品(市販のサプリメント)は全て有効性が高い、とはいえないようです。当院では有効性が確認されたS-エクオールを含むものだけを販売していますので、ご相談ください。

 

エクオールは関節変形だけでなく、同時期の女性に生じがちな腱鞘炎についても効果が期待できます。診察時にご相談ください。

 

体内でエクオールが生成されているか否かを判定するキット(ソイチェック)も当院で販売していますが、生成レベル3以下と判定された場合には生成が十分にされているとは言い難いです。エクオール服用を検討すべきと考えます。

 

こちらもご参照ください(当ブログ2019/8/19)。

2024年5月 7日 (火)

正しい姿勢を幼少期から身につけましょう:周囲の指導が大切です

かつての学校では授業中や集会にて姿勢の指導がよく行われており、例えば「気をつけ」の姿勢が維持できない児童や生徒を指導する教師の姿が頻繁に見られました。

しかし最近は時間などに余裕がなく、当院を受診する小児に尋ねても姿勢の指導を受けた記憶がない、とよく返答されます。

これは家庭内でも然りです。先生や親に子の姿勢を指導する時間的心理的余裕がないことが一因と考えられます。

学校の運動器検診で脊柱側湾症を指摘されるものの、実際には姿勢が悪いだけ、そもそも体幹を真っ直ぐにする慣習がない、という例が頻繁にあります。

 

例えば猫背の持続は低年齢からの肩こりを惹起します。また体幹が真っ直ぐではないと、筋肉骨格に限らず、呼吸機能など内臓の健全な成長が阻害されます。

上述の脊柱側湾症など特段の事情がなければ、小児が正しい姿勢を身につけるための指導を周囲の大人が行うことは大変重要です。どうか今一度、ご指導をよろしくお願いします。

概して小児は、指導したことの習得が早く、姿勢改善の習慣は早期に得られやすいと言われていますが、それが難しい原因がある(と疑われる)場合や、検診で側湾症などが疑われた場合にはぜひ整形外科を受診してください。

2024年3月 3日 (日)

インスリンポンプ・持続グルコース測定器を利用中の方は診察前に申し出てください

糖尿病治療において昨今よく用いられているのが、一部を体(皮膚)に接着して利用するインスリンポンプや持続グルコース測定器です。

いずれもコンパクトで日常生活の支障がほとんどないことが利点ですが、レントゲン写真撮影やCTといったX線被曝時の影響が不明確であり、またMRI撮影による磁気がデータに影響する場合があります。

当院ではレントゲン撮影が該当しますが、医療スタッフおよび患者ご自身が持続グルコース測定器の存在部位を確認しないままに写真を撮影し、測定器が写り込んでしまう可能性があります。

これらの器具を利用している方は、診察前(問診時)に必ず申し出ていただくようお願いします。

また装着部位近くが患部の場合(例:左上腕に持続グルコース測定器を装着していて左肩が痛い)には、受診前に主治医と相談し、装着部位を変更してもらうなどの処置を行なっていただくことをお勧めします。

こちらもご参照ください(公益社団法人日本糖尿病協会より)。

2024年1月13日 (土)

骨粗鬆症治療薬と糖尿病治療薬との飲み合わせについて

骨粗鬆症の治療によく用いられるビスホスホネート内服製剤(商品名アクトネル、ベネット、フォサマック、ボナロン、ボノテオ、リカルボン、ボンビバ)は起床時に内服し、朝食は内服後30〜60分以上経過してから、という服用法の注意点がありますが、近年処方例が増えた糖尿病治療薬のGLP-1受容体作動薬(商品名リベルサス)もこの点が同様です。

ただし両者には大きな違いがあり、前者は食道の炎症を防ぐため180ml以上の水で、後者は薬の吸収効率を高めるため120ml以下の水で内服をすることが推奨されています。よって両者を同時に内服することは避けるべきです。

(なお前者のみ同様の理由で、内服後30分間の臥床禁止が指示されています)

 

故に両者を同時に処方することは適切でなく、異なる医療機関からそれぞれが処方された場合には、どちらかを他の薬に変更する、前者の内服日のみ後者を休薬する、などの手段を講じるのが望ましいです。

(もちろん実際には自己判断せず、処方された医師に相談してください)

 

本件に限らず、医療機関を受診する際には、他の医療機関で処方された内容を確認できることが強く推奨されます。診療科を問わず、受診時にはお薬手帳やマイナンバーカード保険証などを必ずご用意ください。

2024年1月 9日 (火)

災害時のこころのケアについて

2024年は早々から大災害や大事故が相次ぎ、また昨年から世界各地で続く紛争も終わりが見えません。

直接被害を受けたり、関与されている方はもちろんですが、報道を見ているだけの方であっても心身の不調を呈する場合があります。

筑波大学医学医療系 災害・地域精神医学講座のサイト(こちら をクリックまたはタップ)において、こころのケアについての助言が記されています。お役立てください。

2023年12月 6日 (水)

冬こそ足の確認と運動を

急に寒くなり、身体が気候に対応しきれずに体調を崩す方が少なくないと思います。

インフルエンザや新型コロナをはじめとする感染症が流行していますので、皆様お気をつけください。

 

さて整形外科、特に足の外科を診る医師としてこの時期に心配なのは、室内でも靴下を履くことが多くなるため、ご自身の足部、特に足趾を見る機会が少なくなることです。

 

最も危惧されるのは糖尿病など末梢循環および神経障害由来の病態の増悪ですが、健康な方や小児でも足趾を動かす運動をしなくなりがちです。

また知らぬ間に白癬(水虫)や、陥入爪など爪の障害が進行する場合があります。

痛みや痒みを感じる場合には、しもやけが生じることもあります。

 

入浴や着替え時などには、素足の状態でご自身の足を見つめてください。

 

なお足趾を動かすことは筋肉の収縮を促し、冷え性や足の変形(外反母趾など)の予防につながりますので、寒い時期こそおすすめです。

 

 

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